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➖千草と愁➖
月一のローランド家の訪問日は
必ず『purple cloud』へ寄る千草。
その日もカウンターで食事をする千草に、笹内が皿を拭きながら声をかけた。
「千草さん、その後、夢の計画はどうですか?」
「少しづつ進めてはいますけど、亀の歩みかなぁ?」
「まぁ、焦らずにでいいと思います。僕も店を始める時、笹内さんに言われました」と愁も言う。
「愁さんも?」
「はい。そうしたらあの古民家に出会えました」
「なるほどね」
「とは言え、愁くんも次の物件見つけたいよねえ?」笹内が言うと
「あ、すみません」
「いや、僕はまだまだ愁くんに、ここにいてもらっていいんだけどね。一度店を構えた人をいつまでも置いておくのは勿体無いと思ってさ。良い物件見つけたいよねって話」
「なかなか納得の行く物件は見つからないもんなんですよね。私も今の施設開設の時、友達も物件探しが一番大変だったと言ってました。そこの苦労は無いんですけど、果たして我が家をうまく使えるかちょっと心配してます」千草からの言葉に
「あ、だったら今度千草さんのお宅見せてもらっても良いですか?施工はプロがされるんだろうけど厨房使う立場の見方もあると発注に、役立てるかもしれません」
笹内の提案だった。
「なるほどね。また、厨房任せる方も決まってないし、それ良いかもしれませんね」
「よかったら今度の定休日お邪魔してみようか?愁くん」
「はい、僕もお役に立つなら」
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