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熊野古道の仕事は順調に進み、無事終わることができた。
機材の撤収も済み、帰り支度をしていた、野崎は千鳥に声をかけた。
「今日はみんなで打ち上げだな」
「はい」
「もちろん春翔も呼んでるから」
「あ、はい」
微笑みかける洋平は
「もう、またしばらくは会えなくなるし、春翔としっかり触れ合えると良いな」
「え?そ、それはどう言う?」
「ドリちゃん、春翔の事好きなんだろ?」
「え、あ、その、え?」
しどろもどろの千鳥に
「頑張れよ!」と言い、自分の車の方へ行ってしまった。
(きゃー。洋さんが何で?そ、そりゃ好きではあったけど、失恋したし
春翔くんは私なんてただのパンダオタクとしてしか見てないし。こんな私を
それ以外で見てくれるわけもないし。まして恋とかしないって決めたし、フラれて傷つきたくないし……)
あわあわしている千鳥に
「どした?ドリちゃん?」
飛鳥が声をかける。
「いえ、何でもないです」千鳥も我に帰った。
春翔は撮影が始まるまでの仕込み段階まで、現地で手伝ったが
1週間程で白浜の方へ帰っていた。
その1週間の間もかなり忙しく、千鳥も春翔と話す時間もほぼ無かった。
この打ち上げで、ようやく春翔と話す時間も取れるだろうと思ったのだった。
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