29 「それぞれのその後」

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好きが同じだと、あっという間に打ち解ける。 その後、インスタのDMからやりとりが始まり 居酒屋「笹の葉」にもマキは来るようになる。 元々マキの写真のファンでもあったが 飾らない人柄に、春翔はマキ自身に惹かれ始めていた。 いつもの様に「笹の葉」で食事をしていると 店主の湯浅が、春翔にささやいた。 「桜井くんさ、マキさんって良いよね。俺好きだな」 湯浅の言葉に春翔は、口に運びかけていたおかずを皿に落としてしまった。 「あ、動揺した?」 「何言ってるんですか。湯浅さん」 「カマかけた。桜井くん”も”マキさん好きだろ?」 「ぱ、パンダ好きですからね。そりゃ嫌いな訳ないですけど」 「まあ、照れるなよ。マキさんの事たぶん、俺の方が知ってるよ」 「え?」 「彼女は、隣の市のカメラスタジオで働いている」 「そうなんですか」 「その店の定休日は、火曜日だ」 「へえ」 「桜井くん、知らないだろ?」 「いつもパンダの話しかしないので、個人的な事はほとんど知らないですよ」 「だと思った。年の功で俺が聞いてやったよ」 「年の功って」 「彼女、休みの火曜日にパンダ撮りに行って、帰りにはここに寄って飯食って行くんだよ。マキさんに会いたきゃ、火曜日の夕方おいで」 「会いたきゃって……」 確かに春翔は、マキの事は何も知らない。インスタでフォローして長いから、昔から知ってるような気はしたが、彼女本人の事は全く知らなかった事に気づく。
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