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好きが同じだと、あっという間に打ち解ける。
その後、インスタのDMからやりとりが始まり
居酒屋「笹の葉」にもマキは来るようになる。
元々マキの写真のファンでもあったが
飾らない人柄に、春翔はマキ自身に惹かれ始めていた。
いつもの様に「笹の葉」で食事をしていると
店主の湯浅が、春翔にささやいた。
「桜井くんさ、マキさんって良いよね。俺好きだな」
湯浅の言葉に春翔は、口に運びかけていたおかずを皿に落としてしまった。
「あ、動揺した?」
「何言ってるんですか。湯浅さん」
「カマかけた。桜井くん”も”マキさん好きだろ?」
「ぱ、パンダ好きですからね。そりゃ嫌いな訳ないですけど」
「まあ、照れるなよ。マキさんの事たぶん、俺の方が知ってるよ」
「え?」
「彼女は、隣の市のカメラスタジオで働いている」
「そうなんですか」
「その店の定休日は、火曜日だ」
「へえ」
「桜井くん、知らないだろ?」
「いつもパンダの話しかしないので、個人的な事はほとんど知らないですよ」
「だと思った。年の功で俺が聞いてやったよ」
「年の功って」
「彼女、休みの火曜日にパンダ撮りに行って、帰りにはここに寄って飯食って行くんだよ。マキさんに会いたきゃ、火曜日の夕方おいで」
「会いたきゃって……」
確かに春翔は、マキの事は何も知らない。インスタでフォローして長いから、昔から知ってるような気はしたが、彼女本人の事は全く知らなかった事に気づく。
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