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マキはなぜ、こんな風に出会ってそんなに時間も経っていない春翔に話す気になったか、自分でも分からなかった。
でも、出会ったときから春翔と居ると、心が素直でいられる不思議な感覚があった。
幸司の時は、大好きだったが故に嫌われたくない為に一生懸命だった自分がいた。今思えばいつも気を使い続けていたと思う。
春翔は、その正反対の人だと気がついたのだ。
☆
ある日一人、笹の葉でランチをしていたマキが
「湯浅さんもだけど、桜井くんとかこんなに気を遣わないでいられる人が出来て、なんだかうれしいなって、最近思っているんです」
「俺と桜井くんは癒やしキャラだろ?」
「癒やしキャラ?ふふふ。今まで生きてきて私、いつも肩肘張って生きてきたって、今更だけど気がつきました」
「確かにね、マキちゃん、初めて会った頃より表情が穏やかだよね」
「え?そうなの?きつい顔?」
「うん、パンダを撮る時はあんなにいい顔するのに、それ以外の時は
きつめの顔だった。【マキッ!!】って感じの」
「はっきり言われちゃった」笑いながらおかずを口に入れた。
その時、マキの携帯が鳴る。見ると春翔だった。
「あ、癒やし君からだ」湯浅に目配せして電話に出た。
「はい、五十嵐です」
「あ、桜井です。今お電話大丈夫ですか?」
「はい、今笹の葉でご飯してました」
「あ、良かった。あの今日は現場から直帰なので、後20分位で笹の葉に着くと思うので、そのまま待ってもらって良いですか?」
「うん、良いけど」
「では、後ほど」
「どうした?」
「桜井くん、今来るって」
「早速癒しゆるキャラが、到着か」
「ゆるキャラとは言ってないけど」
「パンダ並みのタレ目の俺の方が、ゆるきキャラか?」
湯浅とマキは大笑いした。
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