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マキは部屋にグリーンが馴染むとともに
元夫への気持ちより、春翔の存在が大きくなった。
そして春翔の気持ちを受け入れようと思った。
その頃から『五十嵐マキ』から「さくらまき』とアカウント名を変更したのだった。
「やっぱりさ、印象って大事よね。さくらまきに変えたら、インスタのフォロワー増えたのよ。コメントに(心なしか写真が柔らかくなりました)って書かれてて」
「それは、名前のせいでは無くて
心の変化では無いですか?」
「うふふ。まあ、そこは否定しません」
「否定しないんだ。素直ですね、マキさん」
「はい、春翔くんの前ではすっぴんですので」
「僕もです。だから言いますけど
本名も桜井にしませんか?」
「あっ。え」
「もちろん今すぐってわけじゃありません。僕もこれからまた会社を継ぐとなれば、和歌山から東京に戻ることになるし、率直に自分の思いを出し合いながらこの先の未来を考えたい。だから、今の僕の思いはすぐ話すことにしますので、マキさんも言ってください」
「あ、うん。うん。……素直に嬉しかった。うん。嬉しかった。ありがとう。
本当の桜井マキって良いかもって思った」
「よかった。断られたらどうしようかと思った」
「私達はまだ始まったばかり。でもお互いが素直に肩肘張らずいられるって言うのは、同じなのがわかったから」
「そうです。どうぞ桜井春翔をよろしくお願いします」
「五十嵐、卒業に向けて進みたいと思います」
小さな部屋で2人の傍に
永遠の幸せの葉が、揺れていた。
それからしばらくして
春翔はマキの部屋に移り住むことになった。
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