29 「それぞれのその後」

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マキは部屋にグリーンが馴染むとともに 元夫への気持ちより、春翔の存在が大きくなった。 そして春翔の気持ちを受け入れようと思った。 その頃から『五十嵐マキ』から「さくらまき』とアカウント名を変更したのだった。 「やっぱりさ、印象って大事よね。さくらまきに変えたら、インスタのフォロワー増えたのよ。コメントに(心なしか写真が柔らかくなりました)って書かれてて」 「それは、名前のせいでは無くて 心の変化では無いですか?」 「うふふ。まあ、そこは否定しません」 「否定しないんだ。素直ですね、マキさん」 「はい、春翔くんの前ではすっぴんですので」 「僕もです。だから言いますけど 本名も桜井にしませんか?」 「あっ。え」 「もちろん今すぐってわけじゃありません。僕もこれからまた会社を継ぐとなれば、和歌山から東京に戻ることになるし、率直に自分の思いを出し合いながらこの先の未来を考えたい。だから、今の僕の思いはすぐ話すことにしますので、マキさんも言ってください」 「あ、うん。うん。……素直に嬉しかった。うん。嬉しかった。ありがとう。 本当の桜井マキって良いかもって思った」 「よかった。断られたらどうしようかと思った」 「私達はまだ始まったばかり。でもお互いが素直に肩肘張らずいられるって言うのは、同じなのがわかったから」 「そうです。どうぞ桜井春翔をよろしくお願いします」 「五十嵐、卒業に向けて進みたいと思います」 小さな部屋で2人の傍に 永遠の幸せの葉が、揺れていた。 それからしばらくして 春翔はマキの部屋に移り住むことになった。
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