30 「お祝い」

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30 「お祝い」

米村家の庭の手入れが終わり、後は離れのリフォームだけとなったある日。 庭の完成祝いを、カフェ「AKEBONO」で行うとの知らせが 木杉ガーデンに届いた。 もちろん、関係する米村家の人達も集まる。 ただの庭の完成祝いの為には、結構大勢集まっているのを千登勢は不思議に思った。 しかも、主催の千草から春月に 出来ればモーニングを着て欲しいと言われたからと、何を大袈裟なと思っていたが 「最後の大仕事に、完成祝いをしてくださるんだから、せっかくだし着ていきましょうよ」と春月にたしなめられ、渋々袖を通した千登勢だった。 「じいちゃん、久しぶり」 春翔もはるばる和歌山から、やってきていた。 「なんだお前、良いのか仕事は」 「大丈夫。川原社長にもよくしてもらって、今日はじいちゃんの仕事見ることも勉強だからって来させてもらってます」 「おお、そうか」 「はい。あ、それとね。紹介するね。今お付き合いしてる五十嵐マキさん」 「初めまして、マキと申します」 「おや、彼女まで作ってきおったか」 「会わせたかったから、良い機会作ってもらってありがたかったよ」 「春翔が選んだお嬢さんなら間違いないんだろう。まぁ、よろしく頼むよ」 「おじいちゃーん!」 「おお、凛か」 「おじいちゃん、モーニングめちゃ似合う!」 「大袈裟だろ?」 「かっこいいよ!」 「モデルのお前が言ってくれるなら、悪くはないんだろうか?凛まで来たのか?忙しかろうに」 「ううん、大丈夫。ちょうど撮影空いてる日なの」 「そうか、ゆっくりして行け」 「ありがとう」 お祝いと言うがどんなことをするのかよく分からずに、千登勢は庭に面したテラスの椅子が並んだ席に案内された。 そこには野崎や駿太郎の顔まであった。 進行役には千草が携わっていた。
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