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由恵は雰囲気を変えるためにかぶりを振ってから話し出した。
「明美は身長が高い人が好きだったわよね。彼は高いの?」
明美が満面の笑みを浮かべて答えた。
「140。かなり高いよ」
「えっ、140センチなの? 女子の平均より低いね」
「単位が違うよ。140メートルよ」
由恵が怪訝な顔をした。明美が冗談を言う人ではないけど、どういうことなのだろうか。
「140メートルなんて人間じゃないよね」
「そうよ。彼は宇宙怪獣ガガガガン。変な名前でしょ」
由恵は口をぽかんと開けて何も言い返せなかった。明美はとても疲れていておかしくなったのだと思った。
「彼の容姿が写ってる写真はないの?」
「あるよ。ちょっと待ってね」
明美がスマホを取り出して由恵に彼との写真を見せた。そこで由恵は驚愕した。米粒のように小さく写ってる明美の隣に巨大な足が聳え立っていた。明美が怪獣によって踏み潰されそうとする瞬間の写真ではないかと思った。
「これ何? 加工した? 隣の巨人は何?」
「だから、これが彼だよ。加工なんてしてない」
由恵は全身が寒気に襲われてガタガタと震えた。見てはいけないものを見てしまったと思った。頭の中を必死で整理しようと思ったけど、キャパを超えていた。
「えっと、とりあえず、明美の彼氏は人間じゃないんだね?」
「うん。宇宙怪獣ガガガガン」
「さっき聞いた。彼氏は地球に住んでるの?」
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