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 荒らされた部屋の中に冷たい秋風が抜ける。窓は開いており、使っていない教科書やノート、衣服が散らかっていた。どこかしこもそんな状態で私は呆気にとられるしかなかった。 「なにこれ、どういうこと・・・・・・お金」  足早にクローゼットへ向かい、奥に入れていたカバンの中身を漁る。すぐに、いつも使っているブランドの財布が出てきた。その後、机の引き出しも確認すると、通帳と印鑑も出てくる。 「ここらへんは盗られてないと」  一瞬安心するが、やっぱり不満だ。不法侵入なんて、女子寮ってもっと防犯しっかりしてると思ってたのに。眉をひそめながら、周囲を見ているとドアがノックされる。 「竜菜、入るよ。うわぁ、部屋どうしたの」 「いつから汚部屋女子になったの?」  入ってきたのは麻莉と智世だった。しかし、私の表情からか2人は状況を察するように、笑みが消える。 「もしかして泥棒に入られたの?」 「ど、泥棒」  智世の発言に驚いたのか、隣の麻莉がぼそっと復唱する。  風が抜ける中、しばらく沈黙が続いた。って、ぼんやりしている場合じゃない。 「どうしよう、こういうとき、だ、誰に言えばいいの。警察」  困惑していると、麻莉が口を開く。 「その前になくなったものを確認した方がいいんじゃない? あと、警察より先生の方が先だと思う」 「まぁ、いきなり警察が来たら、美蔓さん困っちゃうよね」  美蔓さんはこのいわゆる寮母さんで、料理が美味しくてキレイな人だ。  いつもお世話になっているから、迷惑かけたくないなぁ。 「それに警察に説明するとき、『誰かに入られた』しか言えないのも」 「確かに。それじゃ、まず部屋を片付けながら盗まれた物がないかチェックしよっか。私たちも手伝いうよ」
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