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「それなら、いつでもこちらに戻れますな」
「ええ、母親も年ですから、少しは親を助けたいと思っております」
「立派な心掛けですな。そうそう、清さん、妹さんは、元気でやっておられますかな?」
「ええ、元気ですよ。といっても、たまに向こうから電話が来るぐらいで、細かいことは話しませんがね」
「まあ、男はそういうもんですな。私もおんなじで、姉とは年に一度、正月に電話するぐらいです」
和尚は、カラカラと笑い、「ちょっと喉の調子が悪いので、すみませんが、お茶をいただけませんかな」と言った。
「あ、これは気づきませんで……。すぐにお持ちします」
清は足がしびれたとみえ、立ち上がるとき少しよろけた。それから、足を踏み締めながら、ゆっくりと台所へと向かった。
清は偽物だ! 警察に連絡しなくては……
バッグからスマホを取り出した。ラインを開き、見習い僧の松宮のアイコンをタップした。
『た』、次は『さ』の上の『す』を押す。よし、予測変換で『助けて』が出た。これを押して、『改行』を押す。
『か』の右の『け』、『あ』の左の『い』、『さ』を押すと、予測変換で『警察』が出た。それを押して、『改行』を押す。
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