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アナテマ
それは清めの鉄鎚が鳴り響かせた、無慈悲なまでに高く鋭い音だ。
けして大きな音ではなかったものの、公が、耳の奥の膜が破られたかと危ぶんだのも無理らしからぬことだった。
耳の次は、目だった。
一角の蹄の音が消えるや否や刹那の内に、エスドレロンの平原は紅い炎に覆い尽くされた!
レキシントン公や一角主従、そして背後に控えているトゥルニア王の近衛兵らも、誰一人としてもれなく炎へと飲み込まれてしまった。
しかし――、
「熱く、ないだと・・・・・・?これは一体、如何なることだ・・・・・・」
炎の最中にて公が茫然自失の内につぶやいた言の葉を、絆がすかさず拾い上げた。
「この炎は、我が王の聖別の印。アナテマです」
「これが、アナテマ――」
絆が無言のままにうなずく。
あくまでも何処までも碧い双眸は、「あえて言の葉を尽くすまでもない」と、実に雄弁に物語っていた。
そう――、アナテマについては聖典にて記されている。
無論、レキシントン公もよくよく知っていた。
絆が言う『聖別』という意味だが、その仕方、――方法がただただ凄まじい。
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