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公は確と思う。
それは、取り返しがつかない愚行に他ならないからだ――。
今、この時も立っている不毛の焦土と化したエスドレロンの野が『目に見える様に示された例』、すなわち証だった。
トゥルニアの息がかかったものの他には、生あるものは人馬はもとより、草木一本残されていない。
宜なるかな。
聖典には、アナテマにされたものは「元の持ち主に戻ることはない」とはっきりと記されている。
――つまりは此の地は、エスドレロンの平原はもう、アエネアスの国とは切り離されてしまったのだ。
公は一角の蹄の御力を、その『清め』の凄まじさをまざまざと見せつけられ、思い知らされた。
結局、公がエスドレロンの平原を立ち去ったのは、一角による『清めの炎』が全く消え失せた頃だった。
「己の体を燃やし、損なうことはない」とは知らされていても、その最中を歩き進んで行くのが心底恐ろしくてならなかった。
一角主従に公の恐れは、畏れは、直に手に取るが如く伝わっていたはずだ。
しかしながら絆は、その主の一角も又、公へと歩を無理強いしなかった。
もとより大理石の彫像が如き平らかさの一角はさておき、その従者たる絆は明らかに陶然とした面持ちで佇んでいた。
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