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子供の頃からヒーローに憧れていた。
地球の危機に命を懸けて悪の組織や異星人と戦う正義の味方。
決して自分の正体は知られることなく、どんなに傷ついても世の為に戦い、自分を犠牲にしても人を守る....
『それにしても最後までバカだったよな』
『外へ出たの何年ぶりだって?』
『ひきこもりニートのくせに何か勘違いしちゃったとか?』
『ま、善良な市民が助かったらしいから誉めてやれば?』
『そうだな、今まで育ててくれた親も少しは報われるだろうし』
....自分の葬式というのを見るはめになるとは。
しかもこいつら高校の同級生だった奴らだよな?
しかも俺を散々イジメてくれた奴ら....
おまえらのせいで引きこもりになったんだよ!
おまえらのせいで高校生活も半年で終わったんだよ!
はあ....
ま、死んでしまった以上はもうどうでもいいし、俺が死んだのとこいつらは直接関係ないからな。
それにしても....
何か外が賑やかで、締め切りのカーテンを少しだけ開けて見たら....
刃物を振り回しながら大声で叫んでいる男がいて、逃げ惑う人たちがいて....
ドラマの撮影かと思ったんだけど、スタッフとかカメラとか見当たらなくて。
「通り魔....?」
そいつが家の近くまで来た時に気づいた。
小学生くらいの女の子が道路に座り込んでしまっている。
窓を全開にして叫んだ。
「バカっ!逃げろっ!おいっ!誰かっ!その子を助けて....」
みんな自分が逃げるのに必死。
そりゃそうか、誰もが大切なのは自分と身内。
赤の他人を助ける義理はないと。
....今になってみるとなぜあんな事が出来たのか分かる。
だってあの時の俺はちょうどスパイダーマンを見終わった直後だったから。
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