出逢い

1/1
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

出逢い

寒くなると思い出す。 カズの事。 雪が振り、凍える体を暖めるようになったら、カズの命日が近づいた証拠だから。 最近寒くなってきたよ。 雪はまだ振りそうにない。 あの頃は二人共まだ若くて、考えも幼かった。 初めて会った日を覚えている。 とても綺麗な男の子だった。 タバコを吸っていた私と目が合った。 私はすぐに目を逸らした。 「ねえ、あなた。随分綺麗な顔してるわね」 彼は話しかけてきた。 「あんたこそ。立派な物はついてんの? 」 私はからかった。 彼はズボンを下げた。 下着ごと一緒にだ。 「カズ! お前何やってんだ! 」 それを見た友達の優子(ゆうこ)にカズは蹴られていた。 「お前いつも自分の粗チ○を見せやがって! いい加減にしろよ! 」 「優子(ゆうこ)りん、ちょっとやめてよ! 」 ……いつもか。 からかった私も悪い。 まあ、立派な物ではあったが。 優子(ゆうこ)優子(ゆうこ)だ。 噂で聞いていた、カズとの出逢いだった。 「どうしてオネエ言葉なの? 」 「オネエでいたら慣れちゃって、この方が楽なのよ」 よくわからないけど、面白い奴。 見た事のないくらい、カズは綺麗だった。 背は私と同じ位で高くはないが、よく言う美少年というやつだ。 皆が皆綺麗だと話していた。 思わず見惚れてしまう。本物の美人だった。 当時私は付き合っている彼氏がいた。正直そいつの事はどうでもよかった。 一生のうち、何もかも面倒に思う時期があるなら、まさにこの頃だったろう。 カズとはよく話をするようになった。 優子(ゆうこ)の誘いで彼らのグループに入ったからだ。 正直群れるのは好きじゃない。適当に時間を潰そうと思っていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!