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出逢い
寒くなると思い出す。
カズの事。
雪が振り、凍える体を暖めるようになったら、カズの命日が近づいた証拠だから。
最近寒くなってきたよ。
雪はまだ振りそうにない。
あの頃は二人共まだ若くて、考えも幼かった。
初めて会った日を覚えている。
とても綺麗な男の子だった。
タバコを吸っていた私と目が合った。
私はすぐに目を逸らした。
「ねえ、あなた。随分綺麗な顔してるわね」
彼は話しかけてきた。
「あんたこそ。立派な物はついてんの? 」
私はからかった。
彼はズボンを下げた。
下着ごと一緒にだ。
「カズ! お前何やってんだ! 」
それを見た友達の優子にカズは蹴られていた。
「お前いつも自分の粗チ○を見せやがって! いい加減にしろよ! 」
「優子りん、ちょっとやめてよ! 」
……いつもか。
からかった私も悪い。
まあ、立派な物ではあったが。
優子も優子だ。
噂で聞いていた、カズとの出逢いだった。
「どうしてオネエ言葉なの? 」
「オネエでいたら慣れちゃって、この方が楽なのよ」
よくわからないけど、面白い奴。
見た事のないくらい、カズは綺麗だった。
背は私と同じ位で高くはないが、よく言う美少年というやつだ。
皆が皆綺麗だと話していた。
思わず見惚れてしまう。本物の美人だった。
当時私は付き合っている彼氏がいた。正直そいつの事はどうでもよかった。
一生のうち、何もかも面倒に思う時期があるなら、まさにこの頃だったろう。
カズとはよく話をするようになった。
優子の誘いで彼らのグループに入ったからだ。
正直群れるのは好きじゃない。適当に時間を潰そうと思っていた。
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