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「杉森さん……これ、本当なの……?」  震えた声で訊く。杉森さんも信じられないと言うような顔をして答えない。 「え……うそだよね? そうだよね? きっとたまたま同じ学校に通う同じ名前の、まるっきり別人なんだよね……?」  そんな都合の良いことがあるわけがない。そんなこと、私だって知っているはずなのに、どうしても今しがたのニュースの内容を現実のものとして受け入れられなかった。 「……はは、そうだよ。今頃疲れて寝てるんだ。電話さえ掛ければすぐに……!」  スマホを取ろうと伸ばした私の腕を、杉森さんは強く掴んで止めた。私と同じような震え方をしていた。 「…………やめて」  消え入りそうな言い方だった。それでやっと、これが嘘でも何でもない現実で起きたことなんだと認めさせられた。認めるしか、なさそうだった。 「………………ぅ」  溜飲は、どうやらもうとっくに私の口から溢れてしまっていたようだった。一度左目から熱くて甘い塊が流れ出ると、その後は呆気なかった。 「うあああああぁぁぁぁっ……!」
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