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分からない。何が嫌でこんな理不尽な目に遭わなくちゃいけない。
何が悲しくてこんな仕打ちを受けなくちゃいけない。
なんで、なんで、なんで……!
どれだけ吐き出しても、絶望の波は止め処なく押し寄せるばかりでちっとも引き返してはくれなかった。
過呼吸を引き起こすくらい泣いた。
もう彼女に会えない。笑った顔も、戸惑ったような声も、キョトンとした仕草も、好きなもののことを話す楽しそうな眼差しも、死にたくないと確信させた温もりも、その全部に触れることが、もう叶わない。せっかくこんなにたくさんのものをもらったのに、何一つお返しらしいお返しもできないまま遠ざかってしまうなんて……。
死ぬまでずっと一緒だよ。
昨日交わしたばかりのその約束は、あまりにも不条理な世界の気まぐれによって、無理やり引き裂かれてしまった。
警察と彩が搬送された病院が調べた結果、死因はプールの中で心室細動を起こしたことによる溺死だろうと判断された。それを受けて鈴ノ瀬高校水泳部は廃部を余儀なくされ、私の担任でもあった野村先生はこの一件の責任を取って教員職から退いた。それらのことを私が知ったのは、彩が死んでから三日経った頃だった。
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