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「おはよー、はるひ! 今日もほっぺぷにぷにだねぇ」  誰だってダルい月曜の教室。一軍女子の相澤(あいざわ)が、藤野はるひの頬をつついた。 「あはっ、あいちゃんおっはよ〜! 今日も寒いねぇ」  藤野がパーにした両手を、笑顔の横で振る。相澤は藤野のえくぼを両手でつまんで、ビヨーンと横に伸ばした。 「ほんっと、はるひのほっぺは癒されるわぁ」 「いひゃいよぉ、あいひゃ〜ん」 「朝からうちの親ウザくてさぁ、ガチギレしたわ。はるひん家はいつも平和でいいよねぇ」 「えへへ〜」 「悩みなくてうらやましーわ」  ニコニコしている藤野を横目で見ながら、俺は自分の席で小さくため息をついた。  今日はまた、荒れるだろうな…… 「ちょっと吉友(よしとも)! 何見てんだよ!」  相澤ににらまれ、慌てて目を逸らす。文庫本を開く俺を指差して、相澤が藤野の耳に口を寄せた。 「吉友さぁ、割とこっち見てると思わない? はるひのこと好きなのかもよ」 「あたしじゃないよ〜、たぶんあいちゃんのこと好きなんだよ〜」 「えー?」 「だって、あいちゃんかわいいも〜ん」  また絡まれたら面倒だから、見ないけど。相澤がどんな顔をしてるのかは、簡単に想像できる。自分がかわいいことなんて、自分が一番よくわかってるよな。
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