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「マサキ、知り合いだったの?」 「同じクラスだけど……」 「ここで会ったこと、友達とかに言ったらダメよ」 「あいつ、どうしたの?」 「今どき小学生でもカウンセリングに通ってる子はたくさんいるの。何も特別なことじゃないわ」  カウンセリング……  学校ではいつもキャッキャして、友達に囲まれてる藤野。能天気な笑い声を上げて、いつも楽しそうで。  だけど。  人間ってやっぱり、見えてる部分だけが本当じゃないんだな、なんて、当たり前のことを考えながら、ぼんやり過ごした翌日の放課後。  藤野はるひが、下校する俺を尾行してきた。 「あのさ、」  隠す気もなかったんだろうけど、バレバレだったから。自宅の前で、俺は藤野を振り向いた。 「昨日のことなら俺、誰にも言わないよ」  藤野の顔は、もう学校にいるときのニコニコじゃなくて。半目の無表情で、小さく口を開いた。 「言ったら、死ぬから」 「え」 「この家の前で、死んでやるから」  切腹するみたいに、制服の腹の前で組んだ両手を震わせて、藤野は俺を脅した。  必死すぎて、なんだか痛々しくて。  普段どんだけがんばってキャラ作ってたんだよ……そう思った俺に。  藤野が顔面蒼白で、絞り出すように言った。 「吉友……」 「なんだよ」 「トイレ……貸して……」
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