プロローグ

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  「結婚、おめでとう――――!!」  駆けつけた友人たちの掛け声と共に、私の目の前でフラワーシャワーが舞った。  純白のドレスとお揃いの、ふんわりと広がるチュールボレロはオフショルの肩を優しく包んでいて、ハイネックにも白い上品なレースの刺繍が散りばめられている手の込んだ一品。その白い花はまるで本物の花に見まがうほどの出来栄え。  そんな美しい純白のウェディングドレスに包まれているのは、小学校からの親友、増山百花(ますやまももか)、二十九歳。今日の彼女は、人生の中で恐らく一番輝いていて美しい。  しかし何故、彼女は私の目の前でこんなに美しく輝いているのだろうか。  というのも、彼氏ができないと、つい二か月ほど前に二人きりの女子会でぼやき、愚痴ったばかりだった。全く寝耳に水な話で驚きを隠せない上、微妙に裏切られた気分になっている。  こうして私は今日、仲のいい友人たちの中で、いよいよ最後のおひとりさまとなってしまった。
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