第4話・バトル勃発

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  「どうしてって・・・・羽鳥さん、集合は二時で、既に小倉さんだけでなく、羽鳥さんがいらっしゃらなかった分、他のお母様方が手伝って下さって、大変ご迷惑をお掛けなさったのですよ。今からお詫びして、担当のお仕事を全うして下さい。そうでないと困ります」 「清川先生が困っても私は困らないわ。聖也とお祭りに回ることを楽しみにしていたのよ! その楽しみを奪おうって言うの!?」 「ですから・・・・」 「もういいでしょう。後にして」  羽鳥さんは私を押しのけ、その場を去ってしまった。あまりの自分勝手さに頭が真っ白になり、つい追いかけるのが遅れてしまった。一瞬の事だったのに、彼女の姿を見失ってしまった。  見回すと、スタスタと前方を歩いて行く羽鳥さんは園入り口からすぐ、一番右側のお店――おめん屋の前で立ち止まっていた。私は慌てて追いかけたが、声だけが聴こえてきた。 「小倉さん、どうも」 「羽鳥さん! 一体何をされていたんですか! もう五時を回っているんですよ!!」  小倉さんの怒った声がおめん屋の方から聞こえて来る。  あああ、マズい! 「ああそれ、清川先生が私の代わりに店番をしてくれますから」 「はあ!? 羽鳥さん、貴女ね――」 「そういう事なので。あ、おめん一つ下さい。聖也、好きなの選びなさい」 「――羽鳥さんっ。お待ち下さい」  私は彼女に呼び掛けた。あまりの身勝手さに身体も声も震えてしまう。  大声で怒鳴ったりしないように、必死に自分の気持ちをセーブした。
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