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こんな会話をしながら、正々堂々泥棒が盗んでいく様相を僕は眺めていた。恐怖も感じず、ただただぼんやりと。
数十分後。
「こんなものですね。本日は充分に盗ませてもらったので、そろそろお暇いたします」
正々堂々泥棒は正々堂々と悪事を終え、玄関へと足を運ぶ。
気づけば、さまざまなものを盗まれていた。リストアップできないぐらいだ。なのに、清々しい心地だった。自分でもわけがわからない。
「どうもありがとうございました」
アホみたいに頭を下げる始末である。
「とんでもございません。私が勝手にしたことでございます。ではでは、これで失礼いたします」
優雅に去っていく正々堂々泥棒を外まで見送ったあと、僕はようやく合点がいった。
正々堂々泥棒に心を奪われていたのだ、と。
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