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手紙には、まず宛先と宛名が書いてある。個人情報だ。差出人のそれもまた然り。そして、その中身は超個人的な内容である。これを個人の秘密と言わずしてなんと言うのか。そして、その秘密を知る楽しさといったら、もはやなににも変えがたい。
とはいえ、時代はもう昭和ではない。手紙の存在は、今となってはレアだ。わざわざ手紙を書かなくても、スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも誰とでも言葉を交わせる時代なのだから。
それでも手紙は完全に消えたわけではない。誰かの家のポストの中で、ひっそりと出番を待っている。封が切られ綴られた文を読まれるのを、今か今かと待っているのだ──。
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