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「リッカリッカ」
世忍さんは私の防御に構わず斬撃を連続。ピートに防御指示を出して辛うじて止めるのが精一杯で防戦一方を強いられる。かと言ってカウンターを当てるタイミングを掴めない。何時か先に詠唱ミスをしたほうがダメージを受けてしまう。その前に防御するピートが先に戦闘不能にならないか心配だ。
「リッカ、ポーン」
これがベテランプレイヤーの洗礼というものなのか。世忍さんの間合に踏み込めない。この状況を打開する方法はないのか。ここは一か八かカウンターにかけてみるしかないか。
「なるほど、防戦一方だが勝負を諦めたわけではないようですね。それでいてカウンターをする隙を常に狙っている。ガッツもあり根性もあるし、対戦に慣れるのが早い。だがそれではダメージは与えられない」
それはわかっているけど、世忍さんとの力の差は簡単に埋めることは出来ない。
「ここでは考えて呪文を詠唱するのではなく、感じるんです。詠唱はこころの所作と知ることですよ」
呪文の詠唱をこころで感じるとはどういうことなの? どうやって、プレイヤーが詠唱する呪文のリズムがあって、そのリズムを頭にインプットするとどのタイミングで攻撃が来るのかがわかるということだろうか。
そのタイミングに呼吸を合わせて攻撃せよと世忍さんは教えてくれているのだとしたら、私がやることは一つ。
「オーマイ、ゴッシュ」
今だっ!
「ピート、攻撃よ!」
世忍さんの一閃のタイミングに合わせて、ピートに攻撃指示を出す。踏み込んできたところに素早く駆け込み、ピートは勇ましく世忍さんにカウンター。一ダメージとわずかだがダメージを与える事が出来た。
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