蜃気楼の感触

クレシのペットショップは「山さん」というプレイヤーが経営しており、販売している魔法生物の知識や飼い方などを教えてくれる。リスクを恐れず対戦者にばりばり突っ込むプレイヤーは、カッコよくて攻撃力が高い「ハーピーイーグル」や「サーベルタイガー」を選ぶが、ダメージを受けたくないプレイヤーは「ツチブタ」や「ティタノボア」といった回避力や防御力の高い魔法生物を買っていくなど。

「みるくちゃん、ねおん、いらっしゃい。ペットを飼いに来たのかい？」

「今日は半額デーと聞いたから、ペットを身にきたよ。スカシウマとかミドリウシとか売ってないかな」

「買いにくるひとがよくするタイプの質問だね。ドラゴンやグリフォンは売ってないのかとか、ベルゼブブとかルシファーは売ってないのかとか」

「でもあそこの蛙、ベルゼブブって書いてあるよ山さん」

ねおんが巨大なだるまガエルのような魔法生物を指差した。

「こいつはベールゼボファといって、太古の両生類だよ。プレイヤーでもなんでも口にしようとする」

「ケツアルコアトルだっているじゃない」

今度はふさふさの毛を生やした、ドラゴンのような魔法生物を指差す。

「あいつはケツアルコアトルスという太古の空の支配者だが、プレイヤーになつくまで随分時間がかかるよ」

完全にベテラン勢且つガチ勢向けのペットな気がするけど、私は可愛らしくて、飼いやすいペットが買えたらいいな。

「犬とかネコって売ってませんか、山さん」

「イヌ科やネコ科の魔法生物ね。あるよ、最近はミックス犬仕入れてね。チワマルやチワフォンにチワヨーキーなど人気だよ」

「ネコ科はどんなのがありますか？」

「ほぼ雑種だけど、初めてペットを飼うならネコがお勧めかな。好きな毛色とかあるかい？」