蜃気楼の感触

「やったあ！　可愛い！　そうだ、名前付けてあげなきゃ」

私のアバター名は、リアルで飼っているネコから命名しているから、同じ名前付けるのもなぁ。私がみるくだから、ちょこ、もなか、じゃんぼ、アイスクリームの名前じゃない。

ねおんやギルドの人たちが、呼びやすくて親しみやすくて愛される名前ってどんなのがあるだろうか。雷神？　風神？　ハナコ？　もちさま？　それだとぱくりだし。

ピートにしてみるかな。ロバート・Ａ・ハインラインの「夏への扉」に登場するネコの名前だけど男の子って印象もある。この子にピッタリだ。

「今日からあなたはピートね」

名付けると、小さな白ネコのピートはにゃあと返事をした。

「きゃあ！　可愛い！」

「みるくさえ良かったら、対戦に出てみる気ないかな？」

ねおんが不意に対戦の誘いを申し出て来た。確かに私は「ねおにゃワールド」を箱（ギルドメンバー全員）で推しているけど、それはみんな対戦じゃ強いし、話してて楽しいからなんだよね。ほかにもランキング上位でばちばちやってるギルドはたくさんいるけど。

「みんな強いじゃない、私はみんなの推し活がしたいんだけど」

「それが一人欠員が出ちゃってさ、みるくどうかなと思って。お試しでいいから一回出てみる気ない？」

「初めてだし、うまく出来るかわからないよ。それでもいいの？」