蜃気楼の感触

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二 「みるくさんを、対戦に? 呪文詠唱を教えればいいのね?」 呉そごうのジムで、るりさんは頷いた。 「ここでの呪文詠唱は、リアルのコンディションが直接反映されます。むせたり、咳こんだり、くしゃみをすれば詠唱のミスに繋がり、対戦相手に隙を与えてしまいます。なので、体調の悪い時は無理をしないこと」 呪文詠唱の当たり判定はシビアだが常識的なものだった。 「体調管理には気を付けろということですね」 「よそはどうかわかりませんが、ここでは飲酒しながらのプレイや食事しながらのプレイ、更には関係のない音響流すのも、遠慮してくださいね。呪文詠唱の妨げになります」 確かにポテチばりぼりしてる音とか入ると、音声が入らなかったり、アルコール入ると判断力や思考力が低下してうまく詠唱できなくなりそうだ。 それだけ誓約を設けているからこそ、詠唱する呪文が強くなるのか。 「わかりました」 「呪文詠唱には肺活量、即ち呼吸が大切です。音声を正確に適切なタイミングで入力するにははっきりとした発音と、それをするだけの体力も必要ですから、日頃の発生練習もさることながら食事と睡眠、適度な運動も忘れずに」 蚊の鳴いたような声で詠唱しても、音声入力は出来ないのは頷ける。るりさん、呪文詠唱のコーチというよりリアルにジムのコーチみたいに見えるけど、ねおにゃワールドのギルメンって普段からそんなトレーニングしているの? 「詠唱は表示されるカタカナの文字列を音声入力しますが、グッド、グレート、パーフェクト、エクセレントの四段階評価で対戦相手に与えるダメージの度合いが異なります。エクセレント評価でクリティカルが出ると覚えるといいですよ」 音ゲーというかカラオケの採点機能みたいだけどエクセレント評価を出すために、色々な誓約付けたとしたら納得がいく。しかし情報量が多いような気がする。
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