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圭は頷いた。「むしろいいことづくめでした」
「人間、案外他人の変化なんて気にしないものさ。生活において、これが演技かどうか、だなんてだれも考えない。大した事ないんだ。仮にバレたって、開き直ってしまっていい」
初老の隣人は老獪に笑った。
「これで分かっただろう、すべて君自身の力だったんだ。日曜日のデート? 行ってくればいい。自信をもって〝こうありたい自分〟でエスコートするといい。君ならうまくいく。きっとね」
そうか、そうだったんだ、すべて自分の力だったんだ! 圭は小瓶を手に取ると快活に笑った。
「こんな小瓶に踊らされるなんて、僕はまるでピエロですね!」
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