第83話 もぐむしゃ

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「……チョコ?」 「んー。見た目黒いんやけど、甘くて美味いで? ちょい苦いけど」  苦いのは……あの城での生活で幾度か口にしたが。  珀瑛様が勧めてくださるのなら……きっと違うのだろう。  受け取ったクッキーを両手で持ち、黒い部分を軽くかじった。 (……まあ!)  思ったほど、苦くない。  むしろ……適度な苦味と言うべきか。  甘いだけでなく、香ばしく……舌を休ませてくれるような、ほんのり舌に感じる苦味。  反対の薄茶の部分は普通のクッキーだが、それを引き立てるようで……。  木の葉の時のように、ついついサクサク食べてしまうのだ。 「……美味いか?」  口にクッキーが入っていたため、珀瑛様からのお優しい質問には首を縦に振ることで答えた。 【ん。詰まるだろうから、お茶も飲んで】  風珀様のお言葉に、ちゃんと飲み込んでからお茶を飲むと……こちらで初めていただいたクッキーの時と同じ味わいを感じた。  カフェオレではないが、紅茶と合わせるととても美味しい。  すると……風珀様が別のポットの中身を新しいカップに注がれた。 「……これは!」 【……ミラはこれも欲しいと思って】  香りですぐにわかったが……私の大好きなカフェオレだったのだ!! 「ありがとうございます!! 風珀様!」 【ん、当然】
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