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「……チョコ?」
「んー。見た目黒いんやけど、甘くて美味いで? ちょい苦いけど」
苦いのは……あの城での生活で幾度か口にしたが。
珀瑛様が勧めてくださるのなら……きっと違うのだろう。
受け取ったクッキーを両手で持ち、黒い部分を軽くかじった。
(……まあ!)
思ったほど、苦くない。
むしろ……適度な苦味と言うべきか。
甘いだけでなく、香ばしく……舌を休ませてくれるような、ほんのり舌に感じる苦味。
反対の薄茶の部分は普通のクッキーだが、それを引き立てるようで……。
木の葉の時のように、ついついサクサク食べてしまうのだ。
「……美味いか?」
口にクッキーが入っていたため、珀瑛様からのお優しい質問には首を縦に振ることで答えた。
【ん。詰まるだろうから、お茶も飲んで】
風珀様のお言葉に、ちゃんと飲み込んでからお茶を飲むと……こちらで初めていただいたクッキーの時と同じ味わいを感じた。
カフェオレではないが、紅茶と合わせるととても美味しい。
すると……風珀様が別のポットの中身を新しいカップに注がれた。
「……これは!」
【……ミラはこれも欲しいと思って】
香りですぐにわかったが……私の大好きなカフェオレだったのだ!!
「ありがとうございます!! 風珀様!」
【ん、当然】
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