第2話 聖女の召喚魔法

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「……ダメ元でも」  私は精霊を膝上にしっかり乗せて、両手を空に向けて伸ばした。 『……あまねく、光』  空に、紫の光と紋様が広がる。  召喚魔法を顕現する時に浮かぶ、魔法陣のようなもの。  屋外で披露するなんて久しぶりだけど……うまく起動してくれたようだ。集中力を途切れないように、言祝ぎの詠唱を唱えていく。 『光、光よ。我が身に宿る光を使え。彼の地とこの地を繋ぐ……綱となれ』  魔法陣が降りて来て……私と精霊から少し離れた地面にくっついた。光が走り、紋様を広げ……さらに大きな陣となっていく。 『とこしえに結ぶ、盟約を紡ごう。我が望みを、今ここに召喚せん!!』  紋様から、目を開けられないくらい強い光が辺りを包み込む。  それもほんの一瞬だったが……やがて、光と陣が消えたあとには。 「…………やっぱり」  食べ物でもなんでもなく。  金属の集合体のような『ガラクタ』か『ゴミ』だった。  魔導具でも何でもなく、いびつな金属の塊でしかない。 【こちら、緑の世界では『ゴミ』です】  と、聖女が持つ鑑定眼でステータスを見ても、説明文にはそれだけだった。 「……ぐす」  やはり、私は追放された元聖女。  かつては出来ていた召喚魔法が満足に扱えなくなった……欠陥品でしかない。
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