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たまらず、嬉しく泣いていたのを悲しみの涙に変えて……ぐすぐすと子供のように泣いてしまった。このような泣き方、聖女見習いとして神殿に親から引き離されて泣いたあの頃以来だ。
まだ、そのような人間らしい感情が残っていることがわかっても……目の前の精霊を助けられないだなんて、と思っていたら。
小さな音が聞こえてきたことで、思わず顔を上げた。
「……え?」
カリカリカリカリ。
いつ離れたのか、膝上にいたはずの精霊が。
あのゴミの塊に、何故かかじりついて……食べて、いた?
「え……え??」
精霊のご飯って、ゴミ? ガラクタ??
とにかく、私が呆然としている間に精霊が大口を開けて、ゴミをガブっと牙で貫いたのだった。
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