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怒りの矛先が決まると、あとは早い。
土くれは致し方ないが、すべきことは決まった。なので、宝物庫から去ろうとした時に。
『それ』は起きた。
【愚かな……ヒトの子】
まばゆいほどの光が、宝物庫に現れた。
なんだ……と思ったが、考えられることはひとつ。
『神』だと言うこと。
「……おお、神よ」
この哀れな男に、慈悲を届けてくださったのか?
流石に、神であるのなら俺もひざまずいて最敬礼を披露した。
なのに、神らしき光から……ため息のようなものが聞こえてきた。
【……愚か、実に愚かな。お前は何も理解していない】
「……な、に」
救ってくださるどころか……俺を、阿呆と蔑んだ?
どう言うことだ!!?
【理解していないようだな? 我らが愛し子を傷めつけていた罰だ。受け取るが良い】
その言葉の直後。
俺は激しい痛みが全身を襲い……光がいつのまにか消えてもずっとのたうち回り……息子の王太子が来るまで、ずっと痛みに悶えていたのだった。
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