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第2話 ゲームのターゲット
次の日、私が学校へ登校すると、皆が私を避けていた。
「おはよー、莉央!春菜!」
2人を見かけたから、挨拶をしてみた。ところが……
「……」
なにも言わずに2人は走っていった。
(昨日のことで嫌われちゃったかな?)
そう思いながら、教室に向かった。
「はぁ…はぁ…」
「優奈、ごめんね。春菜も私も、ターゲットにされるのが怖いから避けるしか方法が無いの」
私が教室に入ると、空気が一変した。
奥の方を見ると、私の机だけが後ろに置かれていた。しかも、「死ね」「ブス」「消えろ」など、たくさんの悪口が机に書かれていた。周りの人も見て見ぬふり。
(はぁ、中学になって孤立か…)
居ずらくなったのか、私はトイレに入った。
トイレから出ようとした時、話し声が聞こえた。
「でねー」
「ww」
(ん?)
私の中で疑問が浮かんだ。
(この声って、しずくちゃんと春菜と莉央?)
と気づいた。そして、
「あんたらさ、優奈ってやつと仲良かったよね?」
(!?この声は昨日の心愛先輩?)
謎だった。どうして、春菜たちとしゃべっているのか。
先輩の質問に春菜たちは…
「いえ!別に仲良くなんてないです。」
そう言った瞬間、悲しさと驚きでいっぱいだった。
「嘘をつかなくてもいいわ。別にあなたたちをターゲットにするつもりは無いわ。」
その言葉を聞いた時、3人はホッとした顔をした。
「ただし!」
3人はビクッとしたまま、先輩の話を聞いていた。
「あなたたちも、ゲームに混ざってくれない?優奈と学校全員で遊ぶの。今は多分、孤立しているだろうし…。殴ったり蹴ったり、色んな方法で学校に来させなくしてやるわ」
と、発言した。私は心の中で…
(お願い!春奈!莉央!しずくちゃん!)
そんな私の声が届くはずもなく、
「分かった。」
「ゲームに混ざる」
あっさりと受け入れた。先輩のテンションを上げるためか、それとも本音か…
「正直、優奈のやつウザかったんだよね〜」
「うちもうちも〜」
「自分だけ正しいですアピール?みたいなのしてくるし〜」
「でしょ!でしょー!だから、優奈をいじめるの〜」
そんな会話を楽しくしているみたいだったけど、私の心はもうボロボロだった。
(皆、そんなことずっと思ってたのかな。友達だと思っていたのは自分だけだったのかな?)
もう、悲しかった。辛かった。いっそう、死んでしまおうと思った。でも、家族には心配かけたくなかった。今までもずっと心配してくれてきたのにこれ以上は、心配させたくないという思いが強かった。
4人がいなくなった所で私はトイレから出た。
廊下ですれ違う度に、「きっも!」と暴言を言われたり、殴られたりもした。
私がいない間に、物を隠したり壊されたり…
そんな中で、ゲーム=いじめが始まった。
「学校に行きたくない」そんな思いを抱えながらも、頑張って行っていた。
次の日、また次の日も。
毎日毎日、ゲームが行われる。でも、心はボロボロだけど彼女たちには負けていないと思う。自分は正しいことをした。それは、誇らしく思わないといけないと…。そう、祖母に教えてもらった。
「なにこれ〜?」
と私が手に握っているものをあろう事か、しずくちゃん達が取り上げて、先輩にみせていた。
「やめて!それは、祖母から貰った大事な形見なの!」
私の言葉には耳も傾けず、
「へー、めっちゃ綺麗じゃん。こういうのは、よっと!」
そう言って、窓から私の形見を投げた。
私は唖然とした中、みんな笑っていた。こんな世界だったんだと改めて思い知らされた。ここに、私の居場所は無いのだと…
私はその場から逃げようとしたけど、取り巻きたちに囲まれて逃げれなかった。
「なに、逃げようとしてんの?ゲームはこれからが本番なのよ」
と…
髪を引っ張られ、水をかけられ…
「お前は出来損ないだ」
「お前なんか死んだ方がよっぽどマシよ。」
「いなくなった所で誰も悲しまないわ」
多くの言葉をかけられ
「あんたなんか、友達なんかと思ったことないから〜」
「そもそも嫌いだから〜」
と、春菜たちに言われた。
その瞬間、何かが胸に刺さったような痛みを感じた。
言葉のナイフが次々に刺さってくる。
その痛みと殴られ蹴られの痛みがあり、ついに私は倒れてしまった。
(どうせ、先生方は気づいてるんだろうな)
私は、その場で気絶した。
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