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情熱体力 山田太郎②
1時間以上遅刻して職場に到着した山田は、ディレクターの本城とパーソナリティー海苔田とゲストとともに今日の収録の打ち合わせに入る。本日のゲストはインド人医師のアルマンド氏だ。カレーを食べながら打ち合わせをしている姿を見ると只者ではなさそうだ。
山田「遅れてすみません」
本城「山田くんこれで何回目? 今度遅刻したら歌山さんの歌会に取材に行かせるからね」
山田「それだけは勘弁してください……」
海苔田「とりあえず座れ」
山田「失礼します」
アルマンド「今日は美味しいカレーの作り方をやるね」
山田「へー、面白そうですね」
海苔田「さっき一口食べてみたけど、めちゃくちゃ辛いから気をつけて」
山田「僕こう見えて辛いのは得意なんですよ」
アルマンドが手をつけられていないチキンカレーを渡してきた。一口食べる山田。
山田「あ、全然大丈夫です。イケます。うまいうまい」
アルマンド「それ日本人用に作った辛くないやつな。こっちは辛いで」
アルマンドが別のカレーを渡してくる。
山田「めっちゃ黄色いっすね。でも楽勝楽勝、こないだ占い師に前世アラビア人って言われたし。いただきま〜す…………ぶごっ、かっっっらっっっ」
海苔田「はい水」
ごくごくと水を飲む山田。
山田「舌が麻痺してる感じです」
アルマンド「でしょ? 初心者にはちょいキツイからね」
あまりの辛さに喋れなくなった山田。途中退席して休憩室へ。ソファで休んでいる山田に我々は近づいてみた。
リポーター「あの〜……大丈夫ですか?」
山田「いや見れば分かるでしょ、この舌のボコボコ見てよ、腫れてるでしょ。もうこれ労災レベルよ? あのアルマンドって奴絶対許さん。もうやる気無くした、今日は仕事しない」
リポーター「でも収録があるんでしょ?」
山田「どうでもいいわもう。あの医者も胡散臭いしカレーも不味いし。芸人でもないのに、どんな嫌がらせだよコレ」
リポーター「とりあえず気を取り直して、仕事にかかりましょ」
山田「もう嫌だ、やらない。この撮影も終わりにする。大体にしてこんな姿晒したらネットで叩かれまくるし。俺のシーンは全カットで、代わりに海苔田さん撮ってよ。あの人仕事できるししっかりしてるからさ。あ〜、朝飯食ってないから腹減ったわ」
アルマンド「お前もう辞めちまえ」
リポーター「お前が言うな」
おわり
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