第三章 正吾と朋

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 擦り付けてくる正吾の肌からは、上質な石鹸の香りがした。  ここに来る前に、体を清めてくれていたのだ。  そんな彼の気配りが、朋は好きだった。 (正吾さんが、もう助からない……!)  それは、嘘であってほしかった。  嫌な夢であってほしかった。  だが、正吾は言うのだ。 「ああ、朋。このまま死ねたら、どんなにか素敵だろうな」 「そんなこと、言わないでください」  腰突きを激しくした後、正吾は朋の体内に射精した。  勢いよく、長く、熱い精を解き放った。  とても病魔に侵されているとは、思えない。  そんな、猛々しさを持っていた。  喘ぐ朋から離れ、正吾はその髪を優しく梳いた。 「すまなかった。少し、がっついたな」 「いいえ」  上半身を起こし、朋は静かに言った。 「お風呂、入りますか」 「うん。汗をかいた」  一緒に入ろう、と言う正吾に続いて、朋はバスルームに向かった。
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