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2人のアリス
アロリス「ねぇ、アベル。」
アベル「どうしましたか?アロリスさん。」
アロリス「……私、元の世界に戻ったらまた退屈しないかな?」
自分でもこの問いになんて返してほしかったのか分からないけれど、なんとなく時間を潰せるだろうと思って聞いてみた。すると、アベルはやっぱり少し困ったような顔をしていた。少し考えてから、あっと手を打った。
アベル「もし、アロリスさんが退屈してしまうと思うのなら、これを見てください。」
アベルはそう言って、私にロケットペンダントをくれた。それを開けようとするとアベルが手を添えて阻止した。元の世界に戻ってからのお楽しみです、とアベルは悪戯に笑った。そうやって時間を潰していると第1のアリスの準備が出来たようで、図書館から出てきた。
第1のアリス「それでは、改めまして自己紹介を。私は『第1のアリス』。名前はアスティリアス・リリー・ストラティスです。みなさんからはアスティラと呼ばれていました。お好きに御呼びになってください。」
アロリス「私はアロリス。よろしくお願いしますね、アスティラ。」
アベル「僕はアンベルトです。アロリスさんにはアベルと呼ばれていますので、アベルでいいです。よろしくお願いします。」
それから私たちの、白の女王の城を目指す旅が始まった。私達がいつ、何を失うかわからないこの世界で、失くならない友情と共に旅に出た。
アロリス「アベルは他のアリスには会ったことあるの?」
アベル「他のアリス、と言いますとアスティラさん以外ということですか?」
アロリス「ええ。第3のアリスとか。」
私が第6のアリス、アベルが第4のアリス、アスティラが第1のアリスなら他にも第2のアリスや第3のアリスがいる、ということになる。
でも私はまだここに来たばかりだから、アスティラとアベル以外にアリスと会ったことがないのだ。
アスティラ「私はありますよ。以前、第5のアリスと御茶会をしました。」
アロリス「その時には、あと誰かいなかった?」
アスティラ「その時には第2のアリスもいましたね。そういえば、第2のアリスと第5のアリスは双子なのですよ。」
そんなことを話していると、なんだか不思議な雰囲気を持った2人とすれ違った。色は違うけれど、アリスの着る服と似ている。私の服は水色のピナフォアと白のブラウスと白いリボン。アスティラは赤色のピナフォアに白のブラウスと白いリボン。髪飾りとして黒いリボンを着けている。アベルは緑色のベストに白いブラウス、白いリボン。それと、胸元に黒いリボンがある。
???「あれれー?第1のアリスじゃないですかぁー?」
???「あれれー?あの無能な第1のアリスですかぁー?」
アロリス「…えーっと、あなた達はどちら様ですか?」
すると、その2人は声を揃えて言った。自分達は第2のアリスと、第5のアリスなのだと。そしてそれぞれ名前をアイシェル・リスト・ステンドとアイシャ・リスト・ステンドと名乗った。
アイシェル&アイシャ「ねーねー、私達もついていっていーい?」
私は迷ったけれど、ここのことをよく知ってそうだ、と思って一緒に来ることを許可した。
アイシェル「よろしくね、第1のアリスと第4のアリスと第6のアリス!」
アイシャ「よろしくね、ただの無能と貧乏人とただの世間知らず!」
アベル「……悪口ですよね?」
アロリス「ま、まあまあ。これから仲良くできるよ……多分。」
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