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2.青色のいたずら(2/2)
私はいつもの通りスモックを着ているが、、、色塗りするのはキャンバスじゃなくて――――髪の毛だ。
しかも、葵ひと……葵くんの。
彼は私を連行する足取りに合わせて、早口で有難迷惑にも説明していた。昨日の進路面談でカラーを注意されたと。
モデルとして社会貢献したとか……放っといたらすぐ落ちるとか?
担任に弁明したけど遅刻が多いし、2年時にも何たらかんたら?
単位はギリ計算で大丈夫だけど、態度がヤバくてガチの指導くらった??
…な感じの話だったが動揺してて曖昧な聴き取り。
要は!
今日が校長と再面談なのに、すっかり髪色戻すの忘れて来ちゃったから……髪に色塗ってなんてどうかしてる!!
私は目をひん剥いた。
『無理っ!』
『真白なら出来る!
流石に校長処分は卒業に響くから……真白にかかってる。頼む!処分回避できたら御礼するから!』
真っ直ぐなのに私の心に絡まる彼の視線は……初めて交わした時から、魔法みたいに従わせるんだ。
御礼なんてどうでもいい。何より私の絵を真剣に見て『綺麗だ』と褒めてくれた人を、私は粗末に相手できない。
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