16.しろとあおの未来(2/2)

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「……え?  ご無沙汰でもないし、しつこい?…はぃ…まだ他の論文も……もういいって!?  興味深い発表なのに…」  ・・・? (たわむ)れてる? 「はい、先日お伝えした通りに手続きを始めます」 「…なっ!?」  話は聞いているよ、父が言っていたのはそういうこと!? 「はい、わかりました。…失礼します」  何くわぬ顔でスマホを私に返し「はぁ〜」と腰を折り曲げると、(あおい)くんは謎のガッツポーズを夜空に掲げた。  デッキをうろついてダッフルコートをひらひら、足元から灯る星のライトを写しながら蝶のように舞わせてる。    満足したのか振り返ると、そのまま私に向けて両手を広げた。  おいで、を勝ち誇った顔で。  私はすくっと立ち上がって… 一歩、二歩、止まれ。 「・・・言って!!?(はか)ったでしょ!?」 「ぷはっ。怒った」 「ひどい!私にだけ黙ってた!」 「プロポーズするのに本人にバラせないでしょ?」 「今日のために盛大に嘘ついちゃったのよ!?お母さんも全部知ってて…だからニタニタと。恥ずかしすぎるっ」  思い返す、自分のしどろもどろな大根演技。初めから葵くんとお泊りするってバレてたんだ。 「真白(ましろ)、下手にアリバイ工作すると、俺達ろくなことにならない。同じミスは二度も繰り返しちゃいけないんだよ?」  「はぁ〜…」今度は私がうなだれてしまった。  そうだったね…  葵くんは、先回りが得意なんだった… !!  いつの間にか目の前にいた葵くんが、私の右手を口元に寄せて指輪に口づけを。  そして、ぎゅっと抱きしめた。ぎゅうっと隙間ないくらい、きつく抱き寄せる。 「もう二度と離さないよ」  ―――――!!?  体温まで伝わるような… 初めてのキス。  大好き、よりもっと…  濃厚で深く色添(いろそ)う気持ちがひたひたに沁みこむ。  私も同じ気持ちのお返しをして…  星屑のステージで、           永遠の愛を誓う。  長く、そして… 熱く重なる唇は―――――ふたりの心までも溶かすみたいに。  キラキラ光る星達が、瑠璃(るり)色の空から降ってくる。  ひとりで(おび)えた過去も優しく包んで、諦めかけた夢色の未来を輝かせて…    真白(しろ)(あお)のクオリアは―――――  今、ひとつに結ばれる。 「…伝わった?」 「うん」  いつの日も、心と心を繋ぎ合わせて…  ふたりで未来を歩んでゆく――――。       『しろとあおのクオリア』完 あなたの未来も 希望の光で満ちていますように。作者より
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