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ゲーグの家
「お久しぶりですね。Ms.ウィンジー」
「相変わらず、Dr.ホルプは紳士ですね。全くゲーグもちょっとは見習って欲しいわね」
「奴は奴なりにいい男ですよ」
「ふふ、そうですね。
ゲーグ! Dr.ホルプがお見えになられたわ!」
ゲーグのパートナーは数十年ぶりに訪問した私を暖かく出迎えてくれた。彼女の案内で庭の見える居間に案内される。ゲーグは手入れの行き届いた庭で、花の世話をしていた。
彼が振り返り、テラスから室内に入ってきた。
「おう! イル! その格好、相変わらずインテリだな」
「お前さんは庭師みたいだぞ」
「引退してから、これしか趣味がないんだ」
ゲーグが革手袋を外して、私たちは握手した。そして、ソファに腰を下ろし、積もる話に花を咲かせた。というよりも、ゲーグが孫の話を一方的に話しまくっていたのだが。
彼の孫は五人もいる。一番上が小学校高学年で、一番下は三ヶ月前に生まれたばかりとか。孫の話をするゲーグは私の印象にある眼光鋭い彼とは違って、今にも蕩けそうな顔だ。
ゲーグの中には泥棒は住んでいないのだろうか? 会話の中でふと、そう思った。
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