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(ああ……やっぱり来なきゃよかった……)
俺は開始わずか5分で、この場にいることを猛烈に後悔した。
「瑠千亜くんって、弟系とか犬系ってよく言われない?」
「分かる!なんかかわいいよね。」
「五郎くんの黒髪めっちゃキレー。ヘアケアとかどうしてんの?」
「優くんってThe・インテリイケメンって感じだよね!眼鏡好きな女子の理想が詰まってる感じ~」
「隼くんはきっと沼系男子だね。絶対みんな沼っていくでしょ。」
目の前の女子たちが、キラキラと目を輝かせて俺の両隣に座るイケメンな先輩たちのことを褒めまくる。
普段から女子に褒められ慣れているこの人たちは、無駄にニヤニヤしたりすることなくサラリと嫌味なく返答している。
(マジで…何で俺こんなところにいるんだよ……)
イケメンな先輩たちに囲まれて合コンというものに人生初参加している俺は、場違いな状況がいたたまれなくなって、一刻も早く家に帰ってゲームがしたくなった。
「海吏くんは、普段から先輩たちと仲いいの?」
誰にも話しかけられなかった俺を不憫に思ったのか、女子の中で一番面倒見の良さそうな子が突然俺に話しかけてきた。
「いや、別に…今回たまたま来たです。」
俺が声を出すと同時に静まり返る空気。
女子たちの「そりゃーそうだろうな」とでも言わんばかりの目線。
「お前なんかがこのイケメンで爽やかな先輩たちとつるんでるなんて思えないからな。」という心の声が聞こえてきそうな沈黙。
先輩たちの、「空気を壊すんじゃねえよ」とでも言わんばかりの鋭い視線。
俺はやっぱり合コンから抜け出したくなった。
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