泥棒は嘘つきの始まり

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雲が夜空を覆い、月明かりを遮って周囲は薄暗い。 夜の十一時を過ぎた今、辺りはシーンと静まり返っている。 犬の遠吠えさえ聞こえない、かつての高級住宅街。 その中でも一段と大きな豪邸のベランダに俺は潜んでいる。 夜になっても部屋の明かりが点かないことから、この家が留守なのが判断できる。 架空のリフォーム会社の営業マンに扮して昼間に訪れ、ベランダへの侵入経路や防犯カメラが無い事は確認済だ。 最近のサッシは防犯対策が施されているから盗みに入るのにも手間がかかる。 しかし、この家の窓の鍵は一般的なクレセント錠だ。 俺の腕にかかれば、窓ガラスを割ることなく侵入できる。
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