4人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あぁ。ちゃんと覚えているよ。アリサちゃん」
ふぅーん、と納得したのかしないのか、アリサちゃんは言う。
「惣二郎さんって、しばらく日本にいなかったみたいだけど、どこに行ってたの?」
は?
知らねえよ!って言いたいところだが、バレて通報されても困る。
「ちょ、ちょっとね……。仕事の関係でね」
早く帰りてえ。
「ねぇ、惣二郎さんが今まで何してたか聞きたいなぁ」
え。何言ってんだ、この小娘。
「い、いやぁ。今日はもう遅いからまた今度ね」
「大丈夫よ、もう子供じゃないんだから。ねっ」
しつけえな。
ねっ、じゃねえよ。
いい加減にしろよ。
「そ、そうだな。イギリスに行ってて……。そう、アンティーク家具の買い付けをしてたんだよ」
「へぇ、イギリスかー。いいなぁ、アリサも行ってみたいなぁ」
なんて会話を小一時間。
嘘で塗り固めた俺のソウジロウさんは疑われることなく、この豪邸からの脱出に成功した。
最初のコメントを投稿しよう!