アリサ

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私に懐いてたから私の言うことを聞いてくれて可愛かったな。 いつも海外を飛び回っているお父様が目の見えない私のために、盲導犬替わりに買ってくれたラブラドールレトリバー。 訓練を受けたわけじゃないから、普通に飼い犬として生活してたけどね。 私には小さいころに亡くなった柊一郎(しゅういちろう)というお兄様がいたの。 病弱で短命だったのはお母様に似ていたのかもしれません。 お父様は「犬も家族の一員だ」ということで、犬の名前を付ける際、もし弟が出来ていたら名付けようとしていた『惣二郎』とした。 私は目上の方には様を、その他の方には、さん付けで呼ぶことを教えられて育った。 だから犬の惣二郎も『惣二郎さん』と呼ぶことが普通だったの。
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