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第3話、カメラ越しに君が微笑む
一通り水乃ちゃんと遊び、太陽も傾きはじめた頃。
砂浜に戻ったらしい水乃ちゃんは、波から少し離れた所で、先に体力がなくなって倒れていた僕の隣に座る。
「んーっ!疲れたぁ~!
でも凄く楽しかったぁ~!」
「そうだね、僕も……もうクタクタ……動けないや」
「そういえば此処って夕陽も綺麗に見える場所だって聞いた事あるんだけど……しばらく眺めてから帰らない?」
「へぇ、綺麗に写真撮れるかな」
「帰るまでまだ時間あるよね、凪……良いよね?」
「う、うん。ちょっと遅れるぐらいなら大丈夫、かな」
水乃ちゃんが不意に僕を見つめてくる。
とくんっ、心臓が跳ねた。
と、同時に顔に熱が集まった。
もしかしたら、水乃ちゃんからもわかりやすいぐらいだ。
僕は顔に集まった熱を誤魔化したくて、慌てて体に付いた砂を軽く落とし、堤防まで移動した。
カメラを持って準備を終える。
そして、海に夕陽が半分隠れた時……
「う、わぁ……」
「凄く、綺麗だね」
「うん、感動した」
美しい夕日を前に写真を撮る。
そして一歩下がって、夕陽と水乃ちゃんをカメラ越しに収めて質問を重ねた。
「ねぇ水乃ちゃん。
もう一度聞いても良いかな」
「え?」
夕日を背景に、振り返った水乃ちゃんの微笑みが綺麗だと思った。
写真を撮る。
「今日、何で僕を誘ってくれたの?」
「それは…………
覚えてない人に言ったって意味無いでしょっ!」
「え……」
「ふん、もう帰ろ
流石にこれ以上遅くなると怒られちゃう」
「あ……水乃ちゃん、待って!」
「…………バーカ」
水乃ちゃんの言葉に、僕は動揺した。
昔交わした約束を水乃ちゃんが覚えていてくれて、約束を果たしてくれたのだと思うと嬉しさと同時に、どうしても顔が熱くなるのを感じた。
写真は、ブレる事なくきちんと撮れていた。
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