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ー もしそやつらに何か頼み事をされたら迷わず引き受けろ。
「何かあるのか?」ずっと黙っていた曼がようやく口を開いた。
ー これはあくまでワシの予想ではあるのじゃが、その場所に天界の奴が紛れ込んでいる可能性があるのじゃ。
「ソラ君やなくてぇ?」
ー違う。ソラより上の奴じゃ。男か女かは分からん。
「何故紛れ込んでいると分かる?」
ー その場所にワシの兄弟…姉が居るのじゃよ。
「姉っ!?」 アオイを始め、曼と羽沢も一緒になって驚いた。
「あぁ、そう言えば昔何かそんな話ししてた事あったね。でも確か…お爺様のお姉様…叔母様は地獄から追放されて灰になって消されたんじゃなかった?」
ー その通りじゃ。ワシの姉は閻家の生まれにも関わらず掟を破って人間と恋をし駆け落ちした事で閻家の者達に追われ最後は消されてしまった。…じゃが、姉は転送の魔力を持っておってな消されたフリをして身体を別の次元に飛ばして逃げたのじゃよ。そしてそれを知っておるのは兄弟じゃったワシと従兄弟の茅お姉様だけじゃ。ワシの姉は閻家の手から逃れるために何度も姿を変えて生きておって、今の姿は確か…猫だったはずじゃ。
「…猫」曼は静かに呟いた。
「その茅様がいらっしゃる事と天界の方が紛れ込んでる事が何かまずい事でもあるのですか?」
運転しながら羽沢が聞くと死神は あぁ と頷いた。
ー 天界の奴ら、ワシの姉が生きとる事に勘付いているようでなかすかな匂いを辿ってワシの姉が今住んで居る場所を突き止めてしまったようなのじゃ。姉は昔閻家から逃げるためにほとんどの魔力を使い切ってしまっていてな、今は自分が変身するだけで精一杯なのじゃ。力がほとんど無いとは言え、閻家の血を引く者に代わりはない。その力があれば天界でも…特に神の力を強めるためにかなり役に立つ。じゃから天界の奴らはワシや白檀達に手を出せない代わりに戦う力が残っていないワシの姉を狙ってその場所に来るようなのじゃよ。曼、アオイ、お前さん達にどうかワシの姉を守ってほしいのじゃ……。
死神探偵小早川曼は今日も。4巻
ー終わりー
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