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「あれっ?」女性スタッフが立ち止まった。
「どうかしたの?」
「立花さん…メイク変えました?」
「えっ?いつもと同じよ?…あっ、もしかしてチーク濃過ぎたかしら?今日ちょっと急いで塗ってきたからあんまりよく鏡見てこなかったのよね」
「あ、濃くはないですけど…なんかいつもより…」
「いつもより…なに?」
「可愛い!」
「ええ?」
「じゃあ私ダンボールの片付けあるんで失礼しまーす!」
女性スタッフはそう言って走って行ったが、本当に言いたかったのは可愛いではなく…「…なんかドキドキしちゃった」
立花はキリッとした美人顔なので普段から綺麗なのは間違いではないのだが、何だか今日はちょっと色っぽく見えたのだ。
恋人でも出来たのかな?と思いながら女性スタッフは不思議に思いながら急いでダンボールを取りに向かった。
「可愛い…かな?」
立花は小さな手鏡で自分の顔を見ながら歩いて辻野永遠の居る部屋に行った。明日の打ち合わせの事で話しをするために来たのだ。
「永遠、入るわよ」
ドアをノックして部屋に入ったものの電気はつけっぱなしのまま、何処にも辻野永遠の姿はなかった。代わりにテーブルの上に「ちょっと出かけて来ます」と書かれた紙が置かれてあった。
それを手に取って「もう!」と立花はため息ついた。それから壁にかけられてあった鏡の中にいる自分の鎖骨あたりを見てふと立ち止まった。
「……あれっ、これなにかしら?蚊にされたのかな?」…
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