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「…ス……ス…」
3人はまだ笑っている。
絶対私の事で笑ってるんだ!絶対そうよ!
『自意識過剰過ぎ。あんたが心配してるほど他人なんて誰もあんたの事見てないよ。あっ、今の悪口じゃないからね?周り気にし過ぎって言いたかったの』
いつだったか親友の亜子に言われた事をふと思い出したが時既に遅し、もうこうなってしまうと“あんたの事じゃないって!”とすぐ側で亜子に強く言ってもらわないと治らない域に達していた。
極度の不安からドクドクと心臓が大きく波打ち始めた。…怖い、怖い…。ついに椿の額からツー…っと冷たい冷や汗が流れ落ちた。
親友の亜子が呆れるくらい紬は度を超えた心配性なのだ。
亜子…亜子助けて…!
『だぁから、あんたの事じゃないってば!しっかりしろ!』
何処からかそんな亜子の励まし声が聞こえて来た気がして ふっ っ身体が軽くなった…ような気もしなくもなかった。
そう…だよね…違うよね?
『そうだよ、違うって言ってんじゃん』
はぁ…良かっ……。
だけど今日は違った。「……ス。…“ブス”。…頑張って早起きして初っ端見る顔がこんなんとか最悪」中心の男が笑いながら小声ではっきりそう言った。
「もっと可愛い子なら良かった…」「そうそ。ブス女。ブスブス…前に立ってんなよ、キモ…消えろし…」他の男達もボソボソ言って頷いて笑っている。
椿はドキッとして泣きそうになった。
やっぱり自分の事だった。後ろの人達は私の事ブスって言って笑ってたんだ!嫌だ嫌だもう帰りたい!!
「椿?どうしたの?やっぱり具合悪いんじゃ…」
敦子が心配して俯いてる椿の顔を覗こうとした。嫌だっ!今見ないでお母さん!椿は「大丈夫だってば!」と声をあげた。
「わっ、どうしたのよ急に大声出して…」
ブスと言われてたのに気付いて泣き出してるのを見て後ろの3人はニヤニヤしていた。
もう本当最悪…なんでパン買いに来ただけで嫌な思いしなきゃなんないのよっ!
確かに私は可愛くない、だけどだからって見ず知らずの人に何でわざわざそんな事改めて言われなきゃなんないのよっ!!
「……ブース」トドメのように小声で中心の男が呟いた。
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