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なんでこんな人達に…っ…
「椿どうしたの!?何で泣いてるの!?」
突然泣き出してしまった椿にびっくりして敦子が慌て出した。男達はしてやったり顔で満足そうに椿を見下ろしている。
「はい。1人死にました〜…」
「やぁりぃ〜……」
3人が笑っていると「何が死んだだよ?何がやったぁだよ?お前ら自分の顔鏡で見た事あんのかぁ?」誰かが後ろから3人に声をかけてきた。
「はぁ?なに?あんたに関係……」振り向いた瞬間3人は後ろに立っていた男の冷めきった目を見てビクッとした。
この人に喧嘩を売ったら確実に負ける。そう思わせるような目では見えない恐ろしい何かがその男から出ていたのを感じて3人は青くなってごくりと唾を飲み込んだ。
男は中心に居た男にグッと顔を近づけた。「なんだよお前超絶不細工じゃん。その顔で良く人の事言えたもんだな?あぁ、自分じゃ気付いてなかったんだ?……可哀想。一緒に居るお友達もブスだけど、こん中じゃお前が1番不細工じゃん。キッモ」
中心の男はカッと顔が真っ赤になった。
お前もブスだろが!!と言い返したかったが悔しい事に相手の男、ちょっとにこりと微笑めば女達がわあきゃあ騒ぎながら寄って来そうなくらいなかなかの顔立ちをしていた。
だから3人は悔しそうに唇を噛むと負け犬のようにダッとその場から走って居なくなった。
「お前」男はぽんと椿の頭に手を置くと「ちゃんと可愛いから大丈夫だよ。だからいちいちあんな奴らに貴重な涙見せてやるなよ。もったいねぇから」
「あの…どちら様?」ぽかんとしている椿の側で敦子が驚いて聞き返した。
「ただの通りすがりですよ」男は微笑み返すとスタスタと去って行った。
「…いったい何だったのかしら?椿の知り合い?」
「ううん、知らない人…」
あの人今私のこと助けてくれたんだ…どうして見知らぬ私なんかを?
椿は袖で涙を拭うと去って行く男をジッと見つめた。
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