家族にドロボウされた

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「むしろ、こういうのってメタ的? 言うと余計に呑み込まれるんだよパパ」  私の言いたいことを察したのか、さらりと言ってしまうアカリ。  ミサキもふふっと笑っている。名前を翌日になって言うのも、こいつらなりに考えてのことだろうか。  その後、歯を磨きひげを剃り、用意された服に着替えて仕事に向かった。 「いってらっしゃい」「いってらっしゃい、パパ」  私は背中越しに声をかけられ硬直してしまう。思わず反応したい気分になるが、まだこのときは何も言わずに出勤した。  店に着き、着替えのロッカーに印鑑やらクレジットカード、銀行のキャッシュなど大事なものを全部保管しておく。ドロボウが堂々と居座る家ではまずいからな。
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