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残念そうに、ミサキは引き下がった。意外とドロボウにしてはしおらしいというか、簡単にだ。まるで、本当はそんなつもりじゃなかったのに、と言わんばかりに。
いや、何を考えてるんだ私は。まんまとドロボウ達の手綱に引っ張られてるじゃないか。落ち着け、これはこいつらの罠だ。私の気持ちを揺さぶり、私自らお金を差し出させようとしてるんだ。
色仕掛けにまで落ちたらもう立ち直れないぞと意気込み、そして眠りに就いた。
いや、ドロボウの前で寝てる時点でもう手遅れだとも思ったが。
2
「いっそのこと、ほんとの家族にならないか?」
三ヶ月が経った。三ヶ月前の私、彼女達が来る前の私が聞いたら何て言うだろうか。
残念ながら、人は騙されると分かってても自ら騙されに行こうとする愚かな生き物だ。だから、こういうことも起きる。家族といっしょに行った遊園地。夢という名の嘘にまみれた場所で、一番の嘘である私達はジェットコースターに乗ったり、お化け屋敷に入ったり、観覧車に乗って、今は昼食を取っている。アカリは土産物コーナーに行った。何でも限定品で買いたいものがあるんだとか。
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