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「それは、私達に盗まれる用意ができたということですか?」
「やめろ。ここの着ぐるみ達は自分で脱ぎにはいかないぞ」
「私達はドロボウですよ。あなたのためのエンターテイメントじゃありません。ただの犯罪者です」
「財産と言っても底が知れてるぞ。せいぜい、数百万程度のものだ」
「十分ですよ。三ヶ月で数百万。捕まるリスクを負ったら高くはないでしょうけど、何せ、あなた達被害者は通報しませんので」
「何でそんなに自信満々なんだ。私はするぞ。絶対にキミ達を留置所に入れる」
「無理ですよ。何ででしょうねー。被害者達はいつも頑なに認めないんですよ。自分らは騙されたわけじゃない。彼女らもドロボウじゃない。ほんとに家族だったんだと。こんなに上手い商売はありません」
「あんたが今のようにリアルの情報を言うのもそのためか」
「えー。完全に家族になりきるとそれはそれで問題なんです。捜索依頼を出したりしてね。でも、こうやってときおり背中から刺すようにリアルのことを言うと、微妙なさじ加減の良い被害者になるんです」
「悪魔のような女だな」
「妻に対して言うことじゃありませんよ」
「本当の妻は夫の金を盗まない」
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