家族にドロボウされた

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「盗みますよ。家族といっても所詮は赤の他人。盗む人は誰からだって盗みます」 「キミの願いは何だ。こんな、少額の盗みを犯してずっと生きてくつもりか。私のような存在は確かに一人寂しく家族に飢えている。キミ達の詐術にまんまと引っかかるだろう。だが、終わりがないぞ。所詮そのような連中の稼ぎなど知れている」 「お説教ですか? 刑事さんじゃあるまいし。勝手に私達のプライバシーに入らないで下さいよ」 「だが」 「私は」そのとき、ようやく彼女の本当の顔が見えた気がした。「ただ、ママといっしょに暮らしたいだけ」  ママ?  本当の母親か。それは一体――もしかして、こんなことをするのも母親のためなのか。 「ともかく、私達は変わりません。このまま、機会をうかがいます。あなたが銀行の通帳や印鑑、どこに隠したかはすでに知ってますよ」 「私が通報しないとでも」 「通報してもこんな話、誰も信じないから困るのはあなたですよ。そもそも、今この段階で私達を拒絶できてない時点で――いえ、もうこの話はやめましょうか」  アカリがたくさんの土産物を買って帰ってきた。 「………」  私は沈黙する。
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