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それから二週間後、彼女達はほんとに計画を遂行した。私のロッカーは無断で開けられ、印鑑と通帳を盗まれていた。口座からは百万くらいあった残高がゼロになっていた。
「最初はただの偶然だったのにな。あー、途中私も騙されていた。すっかり良い気分だったよ。この仕事、一人で活動することが多いからな。だからか……ほんとに、残念だ」
私は上司に報告する。
3
取調室にミサキがいた。
本名、田井中岬(たいなかみさき)。ミサキというのは本名だったのだな。意外というか。彼女の母親が誰か知った今となっては、なるほどと思わされる。
私が入ってくると、ミサキは怨敵が現れたと睨み付けた。
「……あなた、警察だったの? はっ、今まで私達を騙してたんだ」
「先に騙したのはキミ達だろ」
「どういうことよ。私、うまくやってたでしょ。誰からも通報なんてなかったはずよ」
「確かに。警察にはその手の通報は一件もなかったよ。良く考えたものだ。例え来たとしても一件や二件ならそんな話は信じられないし。被害者達も騙されたままでいたいという者が多かった」
「だったら、どうして――何であなたが」
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